REPORT特集

西都古墳まつり | 神話絵巻を舞で表現「炎の祭典」の練習に密着!

2024.10.29



宮崎県西都市で毎年11月の第一土日に開催される「西都古墳まつり」。その初日の夜を華やかに彩るメインイベントが「炎の祭典」です。

今回は、その舞台裏に密着し、2024年開催の「炎の祭典」に携わるメンバーへのインタビューを通じて、炎の祭典への熱い想いや見どころを伺いました。伝統の中に息づく情熱をお届けしますので、ぜひ最後までお楽しみください。

炎の祭典の練習に密着



「炎の祭典」とはニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの物語を、五弦箏やオカリナ、太鼓など古代の楽器が奏でる音楽とともに、力強い武人の舞、優雅な女人の舞、かわいらしい皇子の舞で表現する「まるで古代にタイムスリップしたかのような体験」ができるプログラムです。

西都古墳まつりの目玉である「炎の祭典」は、9月から本番に向けて2か月間にわたる練習がスタートします。

まずは、武人の舞、女人の舞、皇子の舞、そして楽団と、各チームに分かれて個別の練習を重ねます。そして、本番2週間前になると、全体で合わせるリハーサルへと移行し、炎の祭典の完成度を高めていきます。

武人の舞|勇壮な姿が織りなす力強さ

炎の祭典の「武人の舞」は、剣と炎のたいまつで舞を披露する14人の武人と6人の長棒使いの武人により構成されています。

まずは剣を使った勇壮な舞で、ニニギノミコトの東方出征を体現。そして武人たちは剣をたいまつに持ち替え、ニニギノミコトが抱くコノハナサクヤヒメへの疑念を象徴的に表現します。

クライマックスとなる「大たいまつの舞」では、長さ約2.5m、重さ20kg近くもある火のついた長棒を武人たちが操り、燃え上がる産屋での壮絶な出産シーンが再現されます。この演出は、炎と共に繰り広げられる迫力満点の舞であり、炎の祭典の最高潮として観る人々を圧倒します。

武人の舞の練習に密着



武人の舞の練習に密着して感じたのは、力強さと美しさが共存する舞の奥深さでした。



練習場に響き渡る武人たちの掛け声は、まるで古代にタイムスリップしたかのような臨場感を生み出します。



炎のたいまつ、剣を使った舞と動作一つ一つが丹念に繰り返され、そのたびに迫力が増していくのを感じました。



長棒の舞はその迫力に圧倒されてしまいました。長棒を振るう動きは力強さだけでなく、しなやかさが求められ、一つの技に深い集中力が込められているのが伝わってきます。



棒が空を切るたびに響く音と気合の入った掛け声、その後の静寂が対照的で、舞全体に独特の緊張感が漂います。

出演者たちは技術だけでなく、神話の魂を自分の体で表現しようとする情熱に溢れていると感じました。その真剣な姿勢は舞に特別な意味を与え、パフォーマンスを超えた深い感動を呼び起こしてくれます。

班長インタビュー



今年で3回目の参加で2回連続で炎の祭典の班長を務める 阿萬湧貴 あまんゆうき さんに、今年の炎の祭典にかける意気込みを伺いしました。

「例年通り、皆さんに楽しんでいただける炎の祭典をお届けしたいです」と語る目には熱意が宿っていました。

「武人や女人、皇子たちによる舞など、多彩な演目が織りなすストーリーは炎の祭典ならではの魅力です。それとオカリナや伝統楽器による演奏、妻高生の合唱にも注目して欲しいですね」と全体を通して楽しんで欲しいと語ります。

自身も武人の舞を披露し、班長として炎の祭典の全体をまとめている阿萬さん。その情熱がどのような舞台を創り上げるのか楽しみです。

ニニギノミコト役インタビュー

ニニギノミコト役を務める 福永侑努 ふくながゆうと さんは、これまで3回の参加経験があり、そのすべてでニニギノミコトに選ばれています。

練習で特に難しいと感じるのは「重心を落とした姿勢をキープすること」だそうで、長時間その姿勢を保つのは体力的に厳しく、毎回苦労するポイントとのことです。

見どころについて福永さんは、「女人の舞はとても美しく、長棒は迫力があって見応えがあります。ニニギにはオリジナルの振り付けがあるので、そこにも注目してほしいです」と語ってくれました。

最後に「今年も全力で楽しみたいと思っています!」と笑顔で答え、意気込みを見せました。

武人の舞(長棒)インタビュー



今回で10回目の参加となる 中武猛 なかたけたけし さんはかつてニニギノミコト役も務めたこともある「レジェンド」と呼ばれる経験豊富なメンバーの一人です。

長棒の経験も豊富な中武さんですが、重い棒を正確に操りながら、息を合わせたパフォーマンスはいまだに苦労する難しいところだと語ってくれました。

見どころについては「6人が交代で行うソロパートでの回転や、息の合うところを見て欲しいです」とこれからさらに精度を上げていきたいと意気込んでいます。

今年のまつりに対する意気込みを尋ねると、「お客さんに感動を届けたい」と力強く答えてくれました。

経験豊富な「レジェンド」として、舞台に立つ中武さんの姿には、これまでの歴史と情熱が詰まっています。

女人の舞|優雅な動きで魅せる美の世界

「女人の舞」は、18人の女性が古代衣装をまとい、優美に舞いながらニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの出会い、結婚、そして二人を祝福する人々を表現する美しい演目です。

その舞は、まるで神話の世界へと誘うかのように幻想的で、古代神話を現代に蘇らせます。女人たちのしなやかな舞いと華やかな衣装が一体となり、観る者を深い感動と神秘の世界へ引き込みます。

女人の舞の練習に密着



女人の舞の練習に密着し、その優雅さと細部に宿る美しさに心を奪われました。一つひとつの動作が丁寧に繰り返され、まるで空気そのものが柔らかくなるような雰囲気が漂います。



しなやかな手の動きや静かな足運びには、見えない力が込められていて、舞に対する深い思いが伝わってきました。



特に印象的だったのは、表情や姿勢に現れる気品です。舞う人たちは、ただ振りを踊るだけではなく、神話に登場する女性たちの気高さや強さを体現しようとしているのを感じました。



女人の舞が完成に近づいていく瞬間に立ち会えたことは、とても貴重な体験でした。

コノハナサクヤヒメ役インタビュー



前回は女人の舞に参加していた 濱砂野乃花 はますなののか さんが、今年は「コノハナサクヤヒメ」を演じることになりました。

幼い頃に両親が出演していた炎の祭典を見て、華やかな踊りに憧れていた濱砂さん。「あの踊りを自分もやりたい」という想いが、参加のきっかけとなりました。

コノハナサクヤヒメという大役を務めることに期待と不安を感じつつ、9月から練習に参加していると言います。

「形を崩さずに移動することや、周りと合わせる目線が難しいです」と、日々課題を克服できるよう頑張っています。

見どころについては「美しい女人の舞と、 無戸室 うつむろ に火が上がる瞬間は特に感動的です」と、自信を持って紹介してくれました。

「この伝統あるまつりでプレッシャーを感じていますが、観客の皆さんに素敵な思い出を作ってもらえるように、メンバー全員で頑張ります」と意気込みを見せました。
 

皇子の舞|可愛らしく元気いっぱいの皇子たち

「皇子の舞」は、コノハナサクヤヒメが炎の中で命がけで産んだ3人の皇子の誕生シーンを表現した舞です。三皇子を演じるのは3人の小学生。例年小4~小6の子どもたちが選ばれます。

皇子の舞は神話の中でもひときわ神秘的な場面が再現され、炎を背負いながらも力強く命をつなぐ皇子たちの姿に、観る人は思わず引き込まれます。

初々しくも想いを込めた舞と、生命の誕生が一体となった瞬間は、炎の祭典の中でも特に感動的で、神話の深さと美しさを伝えてくれます。

皇子の舞の練習に密着

コノハナサクヤヒメが無戸室で生んだ三皇子の舞を、三人の小学生が披露します。

皇子の舞の練習に密着して感じたのは、子どもたちの真剣さと集中力でした。その姿勢には、役割を全うする責任感が感じられます。

舞の中での真剣な表情や、細やかな動きには、彼らがこの役に込めた想いがしっかりと伝わってきます。



子どもたちの努力と情熱が形になりつつある瞬間を目の当たりにし、その成長と舞に対する熱意に心を打たれました。

三皇子役インタビュー



三皇子を演じる市川さん(写真:左)、前田さん(写真:真ん中)、米田さん(写真:右)に炎の祭典への意気込みを伺いしました。

三回目の参加となる小学五年生の 市川慶太 いちかわけいた さんは、「回転の振り付けが難しいので、もっと上手にできるように練習を重ねています。本番ではかっこよく舞い、最後まで全力を尽くしたいです」と力強く語ってくれました。

三回目の参加となる小学六年生の 前田泰志 まえだたいし さんは、「踊る順番をまだ間違えることがあるので、本番ではしっかり覚えて、堂々と舞いたいです」と意気込んでいます。

初参加となる小学五年生の 米田晃 よねだあきら さんは、「回転の振りをかっこよく決め、その後も振り付けを忘れずに最後まで頑張ります」と笑顔で答えてくれました。

三人は真剣な表情で練習に取り組み、一つ一つの動きを大切にしながら舞の完成度を高めています。

特に回転の振り付けは難しいポイントであり、見どころとなっています。本番での三皇子の舞が今から楽しみです。

楽団|炎の祭典の魅力を引き立てる音楽

炎の祭典の「楽団」は、炎の祭典を彩る重要な存在であり、 五弦箏 ごげんこと や和太鼓、鳴り物、オカリナなどの楽器を用いて、神話の世界を音楽で表現します。

炎の祭典では楽団、オカリナキッズ、妻高合唱部が一体となり音を奏でます。会場に響く音色は、迫力とともに幻想的な雰囲気を創り出し、観る人を古代へといざうことでしょう。一音一音に情熱が込められ、祭典全体を引き立てるこの演奏は、まさに炎の祭典を支える魂の音楽です。

楽団の練習に密着



五弦箏 ごげんこと 、和太鼓、鳴り物、オカリナなどの楽器を手にした楽団の皆さんが、真剣な表情で本番に向けて一生懸命に練習しています。

古代楽器を再現した五絃箏は西都古墳まつりでしか演奏されていない楽器と言われている貴重な楽器です。

各楽器の音が見事に重なり合い、力強いエネルギーが練習会場に広がります。メンバー同士の息がぴったり合い、緊張感の中にも和やかな雰囲気が漂っていました。



練習を見ていて特に印象的だったのは、楽団が奏でるメロディが、まるで古代神話を語りかけるような力を持っていることです。

この独特な音楽に耳を傾けることで、炎の祭典の魅力や文化の深さを感じ取ることができるでしょう。



当日は楽団、オカリナキッズ、合唱団と全員で炎の祭典の盛り上げます。

楽団が奏でる音楽は、炎の祭典の魅力を引き立て、心に残る瞬間を創り出してくれることを感じさせてくれました。

楽団班長にインタビュー



炎の祭典楽団班長を務める 渕野啓太 ふちのけいた さん。渕野さんが古墳まつりに関わり始めたのは14年前、中学1年生のときにドラムの伴奏を任されたのがきっかけでした。

幼い頃からお祭りで見る古墳太鼓保存会の演奏に憧れ、太鼓教室で腕を磨いていたといいます。その背景には、憧れの存在であり師匠の児玉さんの影響がありました。

児玉さんは現在の形の西都古墳まつりを立ち上げたメンバーの一人で、渕野さんはその背中を追いかけてここまで来ました。

現在、渕野さんは楽団の代表としてオカリナキッズや合唱団と演奏を行い、炎の祭典を彩る音楽を届けています。

「裏方として、まつりの雰囲気を音楽で作り上げるのが私たちの役割です」と楽団としての使命を持っている渕野さん。

「この伝統あるまつりを次の世代に繋げていくことが大切です。今年も現世代として盛り上げながら、未来にどう受け継いでいくかを考え、大切に取り組んでいきたいです」と、西都古墳まつりへの想いも語ってくれました。

西都古墳まつり「炎の祭典」を見に行こう

炎の祭典の練習に密着し、参加者それぞれが持つストーリーや情熱が伝わり、その姿に心を打たれました。

そして、一人一人の一生懸命な取り組みが、地域の伝統を未来へと繋ぐ重要な役割を果たしていると感じさせてくれました。

西都古墳まつりの初日に行われる「炎の祭典」に、ぜひ皆さんも足を運んでその迫力を体感してみてください。生で見ることで、地域の文化や人々の情熱に触れ、心に残る感動の瞬間を味わえることでしょう。

この記事を書いた人

まつ

2023.01に宮崎県西都市に移住してきた「まつ」です。

西都市地域おこし協力隊として、移住者目線で西都の魅力を発信しています。