宮崎県西都市小野崎の「市原呉服店」は明治40年(1907年)に創業した老舗で、着物文化を後世につなぐ西都市に唯一現存する呉服店です。
4代目当主の市原
義彦 さんに、こだわりや思い、今後の展望などについてお話しを伺ってきました。「市原呉服店」ならではの魅力をぜひ知ってくださいね。
西都市の市原呉服店|継承ストーリー
「市原呉服店」の現4代目当主、市原義彦さんが、なぜ宮崎県西都市の老舗呉服屋を継ぐことになったのか、その経緯を紹介します。
4代目当主 市原義彦さんの経歴
現4代目当主の市原 義彦さんは、宮崎県西都市出身。脈々と「市原呉服店」を受け継ぐ市原家に次男として生まれ、高校生まで西都市で育ちます。
老舗の「市原呉服店」を継ごうと思い始めたのは、 義彦さんが大学2、3年生の頃です。
父からは警察官や銀行員を勧められていましたが、この頃から「商売」が好きだという感覚を持っていたとのこと。
その夢に向かい義彦さんは大学進学のタイミングで家元を離れ、熊本の熊本学園大学(旧称:熊本商科大学)に入学し経済学を専攻します。
大学卒業後は熊本の老舗呉服店「池田屋」にて4年間の修行を行い、商売や着物のことを学んでいきました。
老舗呉服屋を継ぐまで
1983年(昭和58年)、義彦さんは西都に帰ってきて「市原呉服店」に入社します。
しかし、義彦さんは先代当主である父との経営方針の違いから衝突が絶えず、悶々とした日々を過ごしていたと振り返ります。
昭和20年代の西都本店(市原呉服店提供)
父は現状維持を望み、義彦さんは熊本で学んだ知識を活かして新しいことを始めたいと考えていたため、意見のすり合わせは難航しました。
義彦さんが30歳の時、1988年(昭和63年)に4代目社長に就任しました。
市原呉服店 当主インタビュー|苦労と喜び、そして今後の展望
現4代目当主の市原義彦さんに家業を継いでから現在に至るまでの苦労や喜び、そして今後の展望についてお話を伺いました。
お店を継いで大変だったこと
一番は、修行していた熊本と西都の商売環境の違いですね。
熊本の呉服店は繁華街にあり、本当に多くの人が集まっていました。一方、西都は人が多くなく、同じやり方ではうまくいかないと感じました。
西都に戻ってから数年模索した結果、田舎ならではの強みを見出しました。田舎では人と人とのつながりが強く、そのつながりを大切にすれば商売が成り立つことがわかりました。
お店を継いで良かったこと
着物・呉服というものは高価なものです。
多くの方に気軽に買っていただくにはハードルが高いですが、その分、一度お買い上げいただいたお客様とは強い絆が生まれ、長いお付き合いが続きます。
お宮参りや七五三、成人式など、人生の節目を祝う伝統行事の際には、何代にもわたってお客様やご家族とお付き合いできるのが嬉しい点です。商売をしていて、これほど喜ばしいことはありません。
今後の展望
スムーズな事業継承を目指して、今は店を手伝う娘2人の意見も取り入れながら、新たな試みとして「イベント出店」や「ネット販売」、「レンタル」などを進めています。
時代に合わせてスタイルを柔軟に変えていくことが大切だと思いますが、着付けに関しては、服のメンテナンスや帯を合わせるなど「アナログ」な対応が重要です。
デジタルの力を借りつつも、大事な部分はアナログにこだわり続けたいですね。
市原呉服店の3つの理念と着物サービスへのこだわり
市原さんに「市原呉服店のこだわり」をお聞きしました。
「市原呉服店」老舗の流儀|3つの理念
市原呉服店の理念は3つ。
①先義後利:人との縁や絆(義理)を優先し、後に利益が伴ってくる。
②一会入魂:ひとつの出会いに魂を込める。
③三方よし:店も客も地域もよくなる事業を行う。
この理念を大切にし、市原呉服店は長年にわたり地元の方々に愛されてきました。
老舗呉服屋ならではの豊富な品揃え
現在、西都だけでなく宮崎全体で「呉服屋」が少なくなっており、西都市外のお客様も着物を見に来店されるとのこと。
そんなお客様のニーズに応えるため、「商品の品揃え」に特にこだわりを持ちます。
店内には、着物や浴衣はもちろん、お茶碗、カップ、急須、湯呑み、お箸、手ぬぐい、ハンカチ、風呂敷など、日常生活に取り入れやすい和雑貨も豊富に取り揃えています。
着物・振袖レンタル|特別な日にフォーマルな着こなし
市原呉服店提供
お宮参り、七五三、成人式、結婚式など、人生の特別な日を素晴らしい思い出にするためのサービスにこだわっています。
多彩な着物や振袖のレンタル、着付けに加え、ヘアセット、メイク、写真撮影まで、すべての工程をプロフェッショナルなサービスで提供しています。
市原呉服店提供
宮崎県西都市で着物文化を継承する「市原呉服店」
ライターの私自身、取材を通じて初めて「呉服店」に足を踏み入れました。
これまで「呉服店」というと、値段が高くて入りづらいというイメージがあり、訪れることはありませんでした。しかし、インタビューを進めるうちに、「市原呉服店」の魅力にどんどん引き込まれていきました。
そして、取材の際に近づいていた「西都夏まつり」に向けて、人生初の浴衣を市原呉服店で購入することにしました。
ライターまる
ちなみに僕は浴衣の着方が全くわからず、自分で着ることはできません...
浴衣の着方がわからない...という人でも大丈夫!
市原呉服店で購入した浴衣なら着付けがずっと無料!なんです。
僕が市原呉服店で購入した浴衣は帯まで揃えて1万円代、他に見に行っていたお店よりも安くてデザインが良く、想像していたよりもリーズナブルな価格で買えて大満足でした。
もちろんしっかりした質の浴衣もあり、品揃えが素晴らしかったです。
また、その後の相談やサービスも、老舗の呉服屋ならではの心配りを感じました。
気軽に「着物を着る」体験を!
市原呉服店では、気軽に着物を着ることを楽しんでもらうために、1か月に2回「ワンコイン着物体験」を長年実施しています。
この会は着物の初心者でも参加でき、着付けの練習をしながら、ほかの参加者たちと一緒に着物を楽しむことができます。
ぜひ皆さんも「着物を着る楽しさ」を市原呉服店で体験してみてください。