宮崎県西都市中央町の「
朱瑠璃 」は、1996年創業の地元から愛される「居酒屋」の一つです。
店主の
楠 忠親 さんに、お店のこだわりや思い、今後の展望などについてお話しを伺ってきました。「朱瑠璃」ならではの魅力をぜひ知ってくださいね。
西都市の朱瑠璃|創業ストーリーと店名の由来
「朱瑠璃」の店主である楠さんが、なぜ宮崎県西都市に居酒屋を開業するに至ったのか。その経緯と店名の由来についてご紹介します。
「朱瑠璃」開業までの道程

宮崎市出身の楠さんは高校卒業後、大阪の調理師専門学校へ進学し、本格的に料理の道を志しました。
卒業後は長崎のレストランで就職し、その後、宮崎市内の飲食店で昼夜を問わず働きながら、多様な調理技術を磨いていきました。
さらに技を極めるため、宮崎市内のレストランで本格的に料理に向き合っていたある日、父から「西都市に利用できる空きテナントがある」と声をかけられます。楠さんの父親は西都市の出身で、家族と深い縁のある土地でした。
「これまでの経験を活かして、自分の店を持ってみてはどうか」という話に、楠さんの心は大きく揺れ動きました。
22歳という若さでの挑戦。飲食業の経験はありましたが、飲食店の経営はまったくの未経験。それでも、「やるなら本気でやるしかない」と覚悟を決め、夢への一歩を踏み出しました。
店舗名の由来
店名の「朱瑠璃」は、特定の意味を込めたものではなく、ふと浮かんだ響きをもとに決めたもの。発音の良さが決め手となり、この名前に落ち着いたそうです。
夜の営業では、お酒へのこだわりに合わせて「朱瑠璃」から「酒瑠璃」へと名前が変わります。料理はもちろん、お酒をじっくり楽しめる特別な空間として、こだわりを詰め込んでいます。
朱瑠璃店主インタビュー|苦労と喜び、そしてこれから
「朱瑠璃」の店主である楠さんに現在に至るまでの苦労や喜び、そして今後の展望についてお話を伺いました。
お店を続けていくなかで大変だったこと
西都市には知り合いもいなくて、『あの人はどこで何をしている人』みたいな地元特有のつながりも分からず、お店を開くこと自体はできても、地域に馴染んでいくのは想像以上に大変でしたね。
今振り返ると、宮崎県では口蹄疫や鳥インフル、コロナと、飲食業にとっても厳しい状況が何度も続きました。
特に口蹄疫のときは、生産者の方々が大きな打撃を受け、『自分の牛を提供したいのに、それができない』と涙ながらに話す酪農家さんの姿を目の当たりにしました。その悔しさを感じるたびに、何とか生産者さんの力になりたいと強く思いましたね。
そこからずっと、店として何ができるのかを考え続けました。そして、生産者の方々が復活したときには、必ずまた食材を取り扱い、その味をたくさんの人たちにしっかり届けたい気持ちが、日に日に強くなっていきました。
お店を続けてきて良かったこと
コツコツ続けていくうちに、少しずつ生産者の方たちとつながる機会が増えてきたんですよね。
お店に食べに来てくれたり、「うちのニラ、試してみてよ」とか「最近いい食材ができたから、使ってみない?」なんて声をかけてもらえるようになって。
そういうやりとりをしていく中で、「ああ、自分の店ってただ料理を出すだけじゃなくて、地元の食材や生産者さんの想いを発信する場にもなれるんだな」って気づいたんです。
そんなとき、西都で長年和菓子店をやっている水野屋の会長さんが、「この土地で商売をさせてもらってるからこそ、地元に恩返しできることが嬉しいんだよ」って話してくれて。
その言葉がすごく響いて、「自分もこの地域で何かできることがあるんじゃないか」って考えるようになりました。そこから、地元の食材をもっと活かしたメニュー作りを意識するようになったんです。
たとえば西都牛。当時はほとんど扱ってるお店がなかったんですけど、「だったらうちがやるしかない!」と思って積極的に取り入れるようになりました。
焼酎も、それまではメジャーなものばかりだったんですが、西都市の逢初や、高鍋町の黒木本店さんの焼酎をメインにして、「できるだけ地元のお金が地元で回るように」と考えるようになったんです。
さらに、その考えがより深まるきっかけになったのが、山梨のワイナリーを訪れたときでした。
ぶどう農家の高齢化が進んで、畑がどんどん減っていく中、ワイナリーの人たちが「この景観を守るために、次の世代につなげたい」って必死に取り組んでいる姿を見て、「自分も地元で何か残せることをしなきゃ」と強く思ったんですよね。
だから、お店でも地元のものをもっと選んでもらえるようなメニュー作りに力を入れました。
そうやって試行錯誤しながら続けていくうちに、県外の人たちが「宮崎の食材を味わいたい」とお店に足を運んでくれるようになって。地元の食材を使った料理を提供することで、「この地域でしかできないこと」それができるお店になっていったのは凄く良かったと思います。
今後の展望
これからのことを考えると、やっぱり人口減少ってすごく大きな問題だなって感じます。特に地方は過疎化がどんどん進んでいて、アルバイトを募集してもなかなか集まらないんですよね。
どうしても時給が高いところとか、都市部の遅くまで営業してるお店のほうが魅力的に見えるのは仕方ないことだと思います。でも、「西都でもこういう場所で働けるんだよ」っていう選択肢を、若い子たちにちゃんと示せるお店にしていきたいなって思ってます。
ありがたいことに、2月のプロ野球キャンプシーズンになると、全国からたくさんの人が来てくれるんです。宮崎市内のホテルに泊まりながら、西都までわざわざ足を運んでくれる。
そうなると、その期間は地元のお客さんより県外のお客さんのほうが多いくらいで、まるで東京をはじめとした全国の飲食店と勝負してるような感覚になりますね。
そんなとき、アルバイトのスタッフが「マスター、あそこのテーブルの人がすごく喜んでます!めっちゃ美味しいって言ってます!」って報告してくれることがあるんです。
こういう瞬間って、時給とか給料じゃ得られない喜びだと思うんですよね。「自分が働いてるこの場所には価値があるんだ」って実感できる、すごく大事な経験だなって思います。
だからこそ、今の若い子たちに「西都にいても、発信できることがたくさんあるんだよ」って伝えていきたいし、「西都に住んでてよかった」って思えるような経験を提供できるお店にしていきたいですね。
朱瑠璃・酒瑠璃のこだわり
朱瑠璃を訪れたら、まず味わってほしいのが「だししゃぶ」。
使用するのは、宮崎県川南町のさんきょうみらい豚。オリーブやアボカドにも含まれるオレイン酸を豊富に含み、さっぱりとした甘みが特徴のヘルシーな豚肉です。
脂の旨味がしっかりと感じられながらも、後味は軽やかで、上品な味わいが楽しめます。
さらに、このしゃぶしゃぶはつけダレを使わず、鍋の「出汁」だけで味わうスタイル。だしとレタスとズッキーニの相性も抜群。
豚本来の美味しさと出汁のコクを存分に楽しめる、最後の一滴まで味える朱瑠璃自慢の一品です。
朱瑠璃では西都の食材を活かしたメニュー作りにも力を入れています。そのひとつが、地元のニラ農家さんの新鮮なニラと良質なホルモンを使用した「ニラとホルモン炒め」。シンプルながら、素材の味が際立つ地元ならではの一皿です。
料理だけでなく、生ビールの品質にもこだわるのが朱瑠璃。
全国のキリンビール提供店の中でも「キリン満点生の店」に認定された特別な店舗でしか提供されない「極上一番搾り」を味わうことができます。九州でも限られたお店だけの贅沢な一杯です。
店内には、掘りごたつ席やカウンター席を完備。全席に仕切りを設けることで、周囲を気にせず、ゆったりと食事を楽しめる落ち着いた空間を演出しています。
会食、家族連れ、カップルなど、さまざまなシーンに対応できる居心地の良さも魅力です。
さらに、朱瑠璃の味をご家庭でも楽しめるよう、だししゃぶに使われている特製の呑める「だししゃぶ」や、特製の焼肉ダレ「福まみれ」を販売。店舗はもちろん、通販でも購入可能で、自宅で本格的な味を再現できると好評です。
「朱瑠璃」でここでしか味わえない料理と最高の一杯を
「朱瑠璃」はこだわり抜いた料理と、贅沢な一杯が楽しめる創作居酒屋です。
西都市を訪れた際は心地よい空間で、朱瑠璃ならではの特別なひとときをお楽しみください。