寒さが続く冬は、知らず知らずのうちに力が入ってしまう季節。年始からのあわただしさに追われ、気づけば自分のことは後回しになりがちになる。
そんな今だからこそ届けたい、さいとマチナカマルシェ。
2月のテーマは、「冬はおやつとご自愛タイム」。

このテーマに寄り添う体験として今回開催されるのが、東米良・銀鏡で活動する濱砂さんによる「銀上山茶(しろかみやまちゃ)のブレンドワークショップ」だ。自分のためにお茶を選び、淹れる時間。その一杯から始まる、緊張した心や体をほぐす休憩時間。
今回は、このワークショップを通して出会う濱砂さんの活動と、山茶の魅力について紹介していく。
山茶とは、山野に自生しているものや、農家が自家用として育ててきた昔ながらのお茶のことだ。

肥料や農薬を使わず、自然の力で育つことが多く、人の手があまり加わらない分、一般的なお茶と比べると、少し苦味や渋みのある、粗々しさを持つのが特徴だという。

「けれど、実は加工の仕方次第で、すっきりと飲みやすいお茶にもなるんですよ」と、濱砂さんは教えてくれた。
濱砂さんが作る銀上山茶は、萎凋(いちょう)と呼ばれる、茶葉の酵素を活性化させ、香りを引き出す工程を大切にしている。そのひと手間によって、山茶特有の苦味や渋みはやわらぎ、後味のすっきりとした、やさしい味わいに仕上がる。
ただしそれは、山茶の味を全く変えてしまうものではなく、
「自然に育ったものの良さを消さずに、どうすれば無理なく美味しく飲んでもらえるか」
そんな思いから、加工の仕方を試行錯誤して今のお茶の味にたどり着いたという。
「“自然に育ったものを、分けていただく”。そんな考え方も、このお茶のコンセプトなんです」
売るために整えすぎるのではなく、元々ある味わいを活かしながら、自然の恵みを美味しく楽しむ。そんな考え方が、この銀上山茶のベースにある。
山茶の流れをつなぐ人
もともと山茶は、会社の事業として栽培されていたが、採算が合わなくなり、担い手を探している状況だった。そのとき、濱砂さんが「僕がやってみます!」と手を挙げた。
やめるという選択肢もあった中、地元の人たちの暮らしの中で、自然に続いてきた山茶の存在や背景を思い、できる形で、この流れをつないでいきたいと感じたという。
栽培から採取、加工の委託、商品としてのプロデュースまで。試行錯誤を重ねながら、少しずつ形にしてきた。

「お茶の加工場が以前と変わったことで、味が変わり、離れていったお客さんもいましたね」と濱砂さんは振り返る。
それでも、もう少し気軽に手に取ってもらえたらとサイズを見直し、ティーバッグや粉末タイプにも挑戦。小さな手応えを積み重ねながら、今も山茶と向き合い続けている。
“自分のための一杯”をつくる時間
今回2/8(日)のマルシェで開催されるのは、山茶のブレンドワークショップだ。
緑茶やほうじ茶をベースに、ドライフルーツやハーブなどを加え、自分だけのオリジナルブレンドを作っていく。

用意されているのは、目安の量や、具材それぞれの効能が書かれたシート。けれど、そこに正解はない。

「思い思いにブレンドしてみて、どんな味になるか、一緒に試してみましょう」
市販のお茶ではなく、自分の好みに近い一杯を、自分の感覚で作ること。そのプロセス自体を楽しんでほしいと、濱砂さんは話す。
時間に追われないという贅沢
濱砂さんにとっての“ご自愛タイム”―――それは”子どもや猫が遊んでいる様子を、ぼーっと眺めること”だそう。
一緒に遊ぶのとは少し違う。ただ見守りながら、何もしない時間。

「ぼーっとしたり、時間を“無駄に使う”ことって、時間に追われずゆったり流れていく感じがして、なんだか贅沢に感じるんですよね」
そんな感覚は、日々のお茶の時間にも通じている。以前は、リフレッシュやリセットの一杯といえばコーヒーだった。けれど今は、お茶を淹れて飲むことが多くなったという。

お湯を沸かし、茶葉を選び、湯を注ぐ。その手間に、あえて時間を使うのが贅沢なのかもしれない。
このワークショップもまた、そんな感覚を持ち帰ってもらえたらと濱砂さんは考えている。
東米良というご自愛の場所
「何もないのが、魅力ですね」
東米良での暮らしを、濱砂さんはそう表現する。

夜、空を見上げれば満点の星空。朝には、動物の声や川のせせらぎが聞こえてくる。不便なことも多いけれど、何もないからこそ、過ぎていく時間や、季節の移ろいを、じっくりと感じることができる。
「マルシェをきっかけに、東米良という場所を知ってもらえたら」と濱砂さん。
何かを急ぐ必要はなく、ゆったりとした流れの中で過ごすこと。それ自体が、東米良という場所が持つ、ひとつの“ご自愛”なのかもしれない。
このワークショップを通して、山の時間を少しだけ日常に持ち帰るような体験を、ぜひ味わってみてほしい。
▼さいとマチナカマルシェ(2/8(日)開催)
住所:西都市生きがい交流広場周辺(西都市妻町1-73)
TEL:0983-32-6242
Instagram:
@saito.marche